ベトナムへの入国・滞在に関する包括的ガイド:日本国籍者向けビザ制度と入国手続き

日本国籍者のビザ免除(ノービザ)での入国
ベトナム政府は、日本国籍者に対し一方的なビザ免除措置を講じています。
滞在可能期間
滞在可能期間は最大45日間です。この期間は入国日から起算されます。2023年8月15日施行の改正法により、従来の15日間から45日間に延長されました。
適用要件
以下の条件をすべて満たす必要があります。
- パスポートの有効期間: ベトナム入国時点で6ヶ月以上の残存有効期間があること。
- 出国用航空券: ベトナムからの出国用航空券(帰国便または第三国行き)を所持していること。入国審査時に提示を求められる場合があります。
- 入国禁止対象者でないこと: ベトナムの法律・規定により入国禁止措置の対象となっていないこと。
- 入国目的: 旅券の種類や入国目的は、この45日間のビザ免除措置の適用において問われません。
滞在期間の延長と再入国
- 延長: ビザ免除で入国した場合、原則としてベトナム国内での滞在期間延長は認められません。45日以内にベトナムを出国する必要があります。
- 再入国に関する規定: ビザ免除での再入国に関する規定には注意が必要です。過去には「前回のベトナム出国時から30日以上経過していること」という要件がありましたが、この一般的な要件は法改正により削除されたとされています。しかしながら、別の情報源では、一方的なビザ免除措置を利用して入国した外国人が、再度ビザ免除措置を利用して入国する場合、前回の(ビザ免除での)出国日から30日以上の間隔を空ける必要があると示唆されています。この規定は、特に短期間でベトナムへの再入国を繰り返す場合に影響します。例えば、ビザ免除でベトナムに入国し、短期間滞在後に近隣国へ出国、その後すぐに(前回のベトナム出国から30日以内に)再びビザ免除でベトナムに入国しようとすると、拒否される可能性があります。ただし、ビザ免除で出国後、ビザを取得して再入国する場合は、この30日間の待機期間は適用されないと考えられます。APECビジネストラベルカード(ABTC)保持者は、商用目的での渡航において、この30日以内の再入国制限の対象外となります。頻繁な出張や近隣国への短期旅行を計画する場合は、この再入国ルールについて、渡航前にベトナム大使館等で確認することが賢明です。
ベトナムのビザ制度概要(日本国籍者向け)
45日を超える滞在、または就労、留学、投資といった特定の目的でベトナムに入国・滞在する場合には、事前に適切なビザ(査証)を取得する必要があります。ベトナムのビザは、その目的や対象者に応じてアルファベットと数字の組み合わせによるコードで分類されています。
日本国籍者に関連性の高い主要なビザカテゴリーとしては、観光(DL)、商用(DN)、就労(LD)、留学(DH)、家族帯同(TT)、投資(DT)、電子ビザ(EV)などが挙げられます。これ以外にも外交(NG)、公用(LV)、報道(PV)などのカテゴリーが存在しますが、本稿では主に民間人やビジネス関係者が利用する一般的なビザ種別に焦点を当てます。
表1:日本国籍者向け主要ベトナムビザ概要
ビザコード | 一般名称 | 主な目的 | 最大有効期間 | 主な申請方法 |
---|---|---|---|---|
DL | 観光ビザ | 観光 | 90日 | 大使館/総領事館、電子ビザ(EV) |
DN1/DN2 | 商用ビザ | 商談、会議、契約、サービス提供、商業拠点設立等 | 12ヶ月 | 大使館/総領事館(要招聘状)、電子ビザ(EV、短期) |
LD1/LD2 | 就労ビザ | 就労(労働許可書または免除証明書が必要) | 2年 | 大使館/総領事館(要WP/招聘状)、国内切替/TRC申請 |
DH | 留学ビザ | 留学、研修(インターンシップ) | 12ヶ月 | 大使館/総領事館(要入学許可/招聘状) |
TT | 家族帯同ビザ | 適格ビザ保有者/ベトナム人の家族(配偶者、子等) | 12ヶ月 | 大使館/総領事館(要関係証明/招聘状)、国内TRC申請 |
DT1-4 | 投資家ビザ | 投資活動 | 1年~5年 | 大使館/総領事館(要投資証明/招聘状)、国内TRC申請 |
EV | 電子ビザ | 観光、短期商用、その他対象目的 | 90日 | オンラインポータル |
HN | 会議参加ビザ | 会議、シンポジウムへの参加 | 90日 | 大使館/総領事館(要招聘状) |
VR | 親族訪問等ビザ | 親族訪問、その他目的 | 180日 | 大使館/総領事館(要招聘状) |
注: 上記は一般的な情報であり、実際の運用や要件は変更される可能性があります。最大有効期間は法律上の規定であり、個別の申請に対して発給される期間は異なる場合があります。
この表は、利用者が自身の渡航目的に合致する可能性のあるビザ種別を迅速に特定し、詳細セクションを参照するための手引きとなります。
長期滞在オプション:一時在留許可証(TRC)と5年間ビザ免除証明書
特定の条件下では、ビザの更新を繰り返す代わりに、より長期の滞在を可能にする制度が存在します。
一時在留許可証(Temporary Residence Card / Thẻ tạm trú / TRC)
- 概要: TRCは、ベトナムに1年以上長期滞在する資格を持つ外国人に対して発給されるカード形式の滞在許可証です。TRCを所持している期間中は、原則として別途ビザを取得する必要はありません。
- 対象者: 主に就労(LD)、投資(DT)、弁護士(LS)、家族帯同(TT)、一部の留学(DH)など、特定の長期ビザを保有し、1年以上の滞在が見込まれる場合に申請可能です。
- 申請: 資格を満たすビザでベトナムに入国した後、ベトナム国内の出入国管理局にて申請します。申請には、基礎となるビザに関連する書類(例:LDビザベースの場合は労働許可書)に加え、ベトナム国内での居住証明などが必要となります。
- 有効期間: 基礎となるビザや資格に連動します。例えば、労働許可書に基づくLDビザやTTビザの場合、最長2年です。投資家ビザ(DT1/DT2)や弁護士ビザ(LS)の場合は最長5年となる可能性があります。ただし、パスポートの残存有効期間を超えることはできません。
- 所要期間: 書類が完備していれば、通常申請受理から5~7営業日で発給されます。
5年間ビザ免除証明書
- 概要: 特定の対象者に対し、最長5年間のビザなし滞在を許可する証明書です。主に、海外在住のベトナム人(越僑)とその外国人配偶者・子供が対象となります。
- 制限: この証明書での滞在は、180日ごとに一度ベトナム国外へ出国する必要があります。継続的な居住には不便が伴います。
- 申請: 在外ベトナム公館(大使館・総領事館)またはベトナム国内の出入国管理局で申請可能です。
- 適用: この制度は特定の対象者に限定されており、ベトナム人の家族がいない多くの日本国籍者には適用されません。TRCとは異なる制度であり、180日ごとの出国義務がある点を理解しておく必要があります。
主要なビザ種別の詳細ガイド
以下に、日本国籍者にとって関連性の高い主要なビザ種別について、その目的、要件、申請プロセス、有効期間、延長の可否などを詳述します。
5.1 観光ビザ(DLコード)および電子ビザ(EVコード – 観光目的)
- 目的・対象者: 45日間のビザ免除期間を超えて、観光目的でベトナムに滞在する場合に必要です。
- 要件:
- 有効なパスポート(入国時6ヶ月以上の残存期間)。
- 申請書(大使館申請用またはオンライン用)。
- 顔写真(規定サイズ)。
- 電子ビザ(EV)申請の場合:パスポートのデータページのカラースキャン、顔写真データ(背景白、無帽、メガネなし)。
- 申請料。
- 申請プロセス:
- 大使館・総領事館での申請: 在日ベトナム大使館(東京)または総領事館(大阪、福岡)にて、窓口または郵送で申請します。申請書、パスポート原本、写真、申請料が必要です。代理店経由で申請する場合、入国許可書が必要となることもあります。日本では即日発給される場合もありますが、通常は数営業日を要します。
- 電子ビザ(EV)申請: ベトナム出入国管理局の公式電子ビザポータル(https://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/)を通じてオンラインで申請します。オンラインフォームへの入力、パスポート情報ページの画像と顔写真データのアップロード、申請料(シングルエントリー$25 USD、マルチプルエントリー$50 USD)のクレジットカード決済が必要です。審査には通常3営業日以上かかります。承認されたE-visaはPDF形式で発行されるため、印刷して入国時に提示する必要があります。
- 有効期間・滞在期間:
- 大使館発行のDLビザ:最長90日間。
- 電子ビザ(EV):発給日から90日間有効で、シングルまたはマルチプルでの入国が可能です。
- 延長: 観光目的のビザ(DLおよびEV)は、現在ベトナム国内での延長が原則として認められていません。許可された滞在期間を超えて滞在したい場合は、一度ベトナムを出国し、再度ビザを取得するか、ビザ免除の条件を満たして再入国する必要があります。
- 選択肢の比較: 46日から90日間の観光滞在を計画する場合、オンラインで申請でき、大使館への訪問が不要な電子ビザ(EV)が最も利便性の高い方法と考えられます。大使館での申請も可能ですが、手間がかかる可能性があります。いずれの場合も、滞在期間の延長は困難であるため、旅行計画は許可された期間内に収める必要があります。
5.2 商用ビザ(DN1, DN2コード)および電子ビザ(EVコード – 商用目的)
- 目的・対象者: 商談、会議参加、契約交渉、市場調査、研修、セミナー参加などの短期的な商用活動(DN1, DN2)。契約に基づくサービス提供や商業拠点の設立活動(DN2)。会議やシンポジウムへの参加はHNコード(最長90日)でもカバーされます。
- 要件:
- 有効なパスポート、申請書、顔写真、申請料。
- 重要な要件: ベトナム国内の法人格を持つ企業や組織からの招聘(しょうへい)が必要です。具体的には、ベトナム側の受入企業・団体が事前にベトナム出入国管理局から取得した「ビザ発給許可通知書(招聘状)」またはそれに準ずる承認が必要となります。
- 電子ビザ(EV)申請の場合も、招聘元(スポンサー)の情報入力が求められます。
- 申請プロセス:
- 大使館・総領事館での申請: ベトナム国内の招聘元企業・団体が出入国管理局に申請し、「ビザ発給許可通知書(招聘状)」を取得します。申請者はこの許可通知書(コピー可の場合あり)を用いて、日本のベトナム大使館・総領事館でビザを申請します。
- 電子ビザ(EV)申請: 90日以内の短期商用目的であれば、電子ビザ(EV)も利用可能です。オンライン申請時に招聘元情報などを入力します。EVの場合、大使館申請で必要となる正式な招聘状の事前取得プロセスが簡略化される可能性がありますが、詳細は公式ポータルで確認が必要です。
- アライバルビザ(VOA): 事前承認があれば到着時に取得可能と示唆する情報もありますが、トラブルの可能性も指摘されており、推奨されません。現在はE-visaがより一般的で確実です。
- 有効期間・滞在期間:
- 大使館発行のDNビザ:最長12ヶ月。シングル(1回限り有効)またはマルチプル(期間内再入国可)があり、期間(例:1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月)に応じて費用が異なります。
- 電子ビザ(EV):90日間有効(シングルまたはマルチプル)。
- 延長: 商用目的のDNビザは、観光ビザとは異なり、招聘元企業の保証があればベトナム国内での延長が可能な場合があります。ただし、電子ビザ(EV)の延長は困難です。
- 選択肢の比較: 90日以内の短期出張であれば、オンラインで申請可能なEVが便利です。しかし、90日を超える滞在や、頻繁な出入国が必要な場合、あるいは将来的な滞在延長の可能性を考慮する場合は、招聘元による事前承認手続きを経て大使館でDNビザを取得する必要があります。DNビザはより長期の有効期間と、国内での延長可能性という利点があります。
5.3 就労ビザ(LD1, LD2コード)
- 目的・対象者: ベトナム国内で長期的に就労する外国人向けビザです。LD2ビザには労働許可書(Work Permit / WP)が、LD1ビザには労働許可書免除証明書が必要です。
労働許可書(Work Permit / WP)の重要性
- 必須要件: 3ヶ月を超えてベトナムで就労するほとんどの外国人にとって、WPまたはその免除証明書の取得が法律で義務付けられています。これはLD2ビザおよび関連するTRCを取得するための大前提となります。
- 雇用主の責任: WPの申請手続きは、ベトナム国内の雇用主(企業・団体)が行います。外国人労働者本人が単独で申請することはできません。
- 主な手続きステップ:
- 雇用主は、外国人を雇用したい職位について、規定の方法でベトナム人労働者の募集告知を行います。
- 適切なベトナム人候補者が見つからなかった場合、雇用主は外国人労働者の雇用が必要である理由を記載した報告書を管轄労働局に提出し、承認を得ます(承認まで通常3~4週間)。
- 上記承認後、雇用主は労働者の必要書類を揃え、労働局にWPを申請します(承認後、申請から発給まで通常5営業日)。
- 労働者側の必要書類: パスポートコピー、顔写真、健康診断書(ベトナム国内の指定病院で受診)、最終学歴証明書(学位等)、職務経歴証明書(関連分野で通常3~5年以上の経験を証明)、無犯罪証明書(日本等の居住地警察発行のもの、およびベトナム居住6ヶ月以上の場合はベトナム発行のものも必要)、雇用契約書または任命状などが必要です。特に学歴証明書、職務経歴証明書、無犯罪証明書は、日本の公証役場、法務局、外務省での公印確認、さらに在日ベトナム大使館・総領事館での領事認証といった「リーガリゼーション(合法化)」手続きが必要となり、ベトナム語への翻訳・公証も求められます。この合法化プロセスには相当な時間と手間がかかります。
- WPの有効期間: 最長2年間で、更新も可能です。
表2:労働許可書(WP)申請書類チェックリスト(例)
書類 | 対象者 | 備考 |
---|---|---|
パスポートコピー(全ページ) | 全員 | 公証または会社印押印が必要 |
健康診断書 | 全員 | ベトナム国内の指定病院発行のもの |
顔写真(4x6cm、背景白) | 全員 | 最近撮影したもの |
WP申請書 | 全員 | 雇用主が準備 |
雇用主の企業登録証明書等コピー | 全員 | 公証版 |
外国人労働者雇用需要承認書 | 全員 | 雇用主が事前に労働局から取得 |
学位証明書 | 専門家・技術者 | リーガライズ(合法化)、翻訳、公証が必要 |
職務経歴証明書(関連分野で3年以上または5年以上) | 専門家・技術者 | リーガライズ(合法化)、翻訳、公証が必要。必要な年数は学歴等による |
無犯罪証明書 | 全員 | 日本(または直近居住国)発行のものはリーガライズ、翻訳、公証が必要。ベトナム居住6ヶ月以上の場合はベトナム発行の原本も必要。発行日から6ヶ月以内有効 |
任命状または労働契約書 | 全員 | 社内異動か現地採用かによる |
注: 上記は一般的な例であり、職位や申請地によって必要書類が異なる場合があります。リーガライズ手続きは複雑で時間を要するため、早期の準備が不可欠です。
LDビザの要件
有効なパスポート、申請書、顔写真、そして最も重要な要素として、発給済みの労働許可書(WP)またはWP免除証明書のコピー(公証版)が必要です。
LDビザの申請プロセス
- 推奨される方法(ベトナム国内申請): WPを申請する予定の雇用主を招聘元として、まず商用ビザ(DN)等でベトナムに入国します。WPが無事に発給された後、ベトナム国内の出入国管理局にて、DNビザからLDビザへの切り替え、または直接LDビザに基づく一時在留許可証(TRC)の申請を行います。この方法が実務上一般的とされています。
- ベトナム国外申請: 雇用主がベトナム国内でWPを取得した後、出入国管理局からLDビザの「ビザ発給許可通知書(招聘状)」を取得します。申請者は、WPのコピーと招聘状を用いて、日本などベトナム国外のベトナム大使館・総領事館でLDビザを申請します。
有効期間・滞在期間
LDビザの有効期間は、基礎となる労働許可書(WP)の有効期間に準じ、最長で2年間です。
延長
労働許可書(WP)を更新することで、LDビザまたはTRCも更新(延長)が可能です。
プロセス全体の理解
ベトナムでの就労ビザ取得は、単にビザを申請するだけでなく、その前段階である労働許可書(WP)の取得が不可欠です。WP取得プロセスは雇用主主導で行われ、外国人労働者側も学歴・職歴証明や無犯罪証明書などの書類を日本等で準備し、複雑なリーガライズ手続きを経る必要があります。全体のプロセスには数ヶ月単位の時間を要することが一般的であり、十分な準備期間と雇用主との緊密な連携が成功の鍵となります。
5.4 留学ビザ(DHコード)
- 目的・対象者: ベトナム国内の大学、専門学校、語学学校等での就学、またはインターンシッププログラムへの参加を目的とする外国人向けビザです。
- 要件:
- 有効なパスポート、申請書、顔写真、申請料。
- 重要な要件: ベトナムの受け入れ教育機関(大学、学校等)が発行した正式な「入学許可書」と、その教育機関がベトナム出入国管理局から取得した「ビザ発給許可通知書(Visa approval letter / 招聘状)」が必要です。
- 場合によっては、留学費用を支弁できることの証明や、特定の学歴証明(例:一部の日本語学校では高校卒業証明書の認証が必要)が求められることもあります。
- 申請プロセス: 原則として、ベトナムへ渡航する前に、日本のベトナム大使館・総領事館で申請します。申請には、受け入れ教育機関から送付された入学許可書とビザ発給許可通知書が必須です。
- 有効期間・滞在期間: 最長12ヶ月です。通常、留学プログラムの期間に合わせて発給されます。留学期間が1年を超える場合は、DHビザに基づく一時在留許可証(TRC)の申請対象となる可能性があります。
- 延長: 留学が継続する場合、受け入れ教育機関を通じてビザまたはTRCの更新(延長)申請が可能です。
- 教育機関の役割: 留学ビザの取得プロセスは、受け入れ先の教育機関の協力が不可欠です。入学許可を得るだけでなく、教育機関が責任を持ってベトナム国内でビザ発給許可通知書を取得し、それを留学生に提供する必要があります。留学生は、これらの書類がなければビザ申請を進めることができません。したがって、入学を希望する学校との間で、ビザ申請手続きに関する連携を密に行うことが重要です。
5.5 家族帯同ビザ(TTコード)
- 目的・対象者: ベトナムで有効な特定ビザ(例:就労LD、投資DT、留学DH、外交LV、公用NGなど)を保有する外国人の配偶者および18歳未満の子供、またはベトナム国籍者の親、配偶者、子供である外国人が対象です。
- 要件:
- 有効なパスポート、申請書、顔写真、申請料。
- 重要な要件: 帯同対象者(就労者、投資家、ベトナム人親族等)との関係を証明する公的書類が必要です。日本人家族の場合、通常は戸籍謄本(全部事項証明書)を用います。この戸籍謄本は、外務省の公印確認および在日ベトナム大使館・総領事館での領事認証(リーガライズ)を受け、ベトナム語に翻訳・公証する必要があります。
- 帯同対象者(スポンサー)のパスポートおよび有効なビザまたはTRCのコピー、スポンサーの所属企業・団体の書類(企業登録証明書等)も必要となる場合があります。
- 申請プロセス:
- ベトナム国外申請: スポンサー(帯同対象者またはその所属機関)がベトナム国内で「ビザ発給許可通知書(招聘状)」を取得し、申請者はそれを用いて日本のベトナム大使館・総領事館でTTビザを申請します。
- ベトナム国内申請: 1年以上の滞在を予定し、一時在留許可証(TRC)を取得する場合、ベトナム国内で申請します。ただし、この国内申請を行うためには、申請者がTTビザでベトナムに入国している必要があります。観光ビザ(DL/EV)など、他の種類のビザで入国した場合、ベトナム国内でTTビザやTTベースのTRCに切り替えることは原則としてできません。
- 有効期間・滞在期間: TTビザ自体の有効期間は最長12ヶ月です。ただし、その有効性は常に帯同対象者(スポンサー)のビザまたはTRCの有効期間に依存し、それを超えることはできません。1年を超える滞在の場合は、TTビザに基づくTRCを取得する必要があります。
- 延長: 帯同対象者が有効な滞在資格を維持している限り、TTビザまたはTRCの更新(延長)が可能です。更新申請には、初回申請時と同様の関係証明書類等が必要となる場合があります。
- 入国時のビザ種別の重要性: 家族帯同でベトナムに長期滞在(1年以上)を計画し、最終的にTRCの取得を目指す場合、最初のベトナム入国時に必ずTTビザを取得しておくことが極めて重要です。短期滞在の予定であっても、将来的に長期滞在に移行する可能性がある場合は、最初からTTビザで入国することが、後の手続きを円滑に進める上で不可欠となります。観光ビザ等で入国してしまうと、TRC申請のために一度ベトナムを出国し、改めてTTビザを取得して再入国するという手間と費用が発生する可能性があります。
5.6 投資家ビザ(DT1, DT2, DT3, DT4コード)
- 目的・対象者: ベトナム国内で投資を行う外国人投資家、およびベトナムに投資する外国組織の代表者が対象です。投資額に応じてDT1からDT4までのカテゴリーに分類されます。
- DT1:投資額1000億VND以上、または政府が定める投資奨励分野への投資。
- DT2:投資額500億VND以上1000億VND未満、または政府が定める開発投資奨励分野への投資。
- DT3:投資額30億VND以上500億VND未満。
- DT4:投資額30億VND未満。
- 要件: 有効なパスポート、申請書、顔写真、申請料に加え、投資活動を証明する書類(投資登録証明書、企業登録証明書、出資金拠出証明書など)が必要です。ベトナム国内に設立された法人組織等が招聘元(スポンサー)となります。
- 申請プロセス: 商用ビザや就労ビザと同様に、招聘元がベトナム国内で「ビザ発給許可通知書(招聘状)」を取得し、申請者がそれを用いて国外の大使館・総領事館で申請する方法、または適切なビザで入国後にベトナム国内で切り替え・TRC申請を行う方法が考えられます。
- 有効期間・滞在期間: カテゴリーによって異なります。
- DT1, DT2:最長5年
- DT3:最長3年
- DT4:最長12ヶ月
- 延長: 投資活動が継続している限り、ビザまたはTRCの更新(延長)が可能です。
- 投資規模と滞在期間: 投資額が大きいほど、より長期間の滞在資格(ビザ・TRC)が付与される仕組みとなっており、大規模な投資を誘致するインセンティブとして機能しています。
ビザ申請手続きと費用
申請場所
- 在外ベトナム公館(在日ベトナム大使館・総領事館): 伝統的なビザ(DL, DN, LD, DH, TT, DTなど)の主な申請場所です。窓口持参または郵送での申請が可能です。多くの場合、ベトナム国内の招聘元(企業、学校、家族等)が事前に取得した「ビザ発給許可通知書(招聘状)」が必要となります。
- ベトナム電子ビザ(E-visa)ポータル: 観光、短期商用など、対象となる目的で最大90日間(シングルまたはマルチプル)滞在可能な電子ビザ(EV)をオンラインで申請・取得できます。ウェブサイト(https://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/)上で手続きが完結します。
- ベトナム国内の出入国管理局: ビザの延長(可能な場合)、ビザ種別の切り替え(例:DNからLDへ)、一時在留許可証(TRC)の新規申請・更新など、ベトナム入国後の手続きを行います。
一般的な必要書類(ビザ種別共通)
- パスポート原本: 申請時点で有効であり、通常、ベトナム入国予定日から6ヶ月以上の残存有効期間が必要です。
- ビザ申請書: 申請場所やビザの種類に応じた所定の様式に記入します(例:大使館用NA1フォーム、延長・TRC用NA5フォーム)。
- 顔写真: 指定されたサイズ(例:3.5×4.5cm, 4x6cm, 2x3cm)の証明写真を必要枚数用意します。
- 申請料: ビザの種類、期間、申請方法によって大きく異なります(後述)。
- 目的別書類: 第5章で詳述した、ビザ発給許可通知書、労働許可書、入学許可書、関係証明書類、投資証明書など、申請するビザ種別特有の書類。
所要期間(目安)
- 大使館・総領事館(日本): 標準的な審査期間は申請受理翌日から最短6営業日とされていますが、追加料金により緊急(例:3営業日)・特急(例:2営業日)での発給が可能な場合もあります。観光ビザについては、日本国内では即日発給されるケースもあります。
- 電子ビザ(EV): オンライン申請後、通常3営業日以上で審査結果が出ます。
- ベトナム国内での手続き(延長・TRC等): 通常、申請受理から5~7営業日程度で処理されます。ただし、前提となる労働許可書(WP)の取得プロセス自体には数ヶ月を要します。
申請費用(目安)
ビザ申請費用は、ビザの種類、有効期間(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年等)、入国回数(シングル、マルチプル)、申請方法(大使館、E-visa、代理店)、処理速度(通常、緊急、特急)によって大きく変動します。以下は目安です。
- 電子ビザ(EV): オンライン申請時にクレジットカードで支払います。費用は固定で、シングルエントリーが$25 USD、マルチプルエントリーが$50 USDです。
- 大使館・総領事館での申請(実費): 公館が定める公式手数料が適用されます。情報源によって通貨や時期が異なり一概には言えませんが、例として、一次(シングル)ビザが50万VND程度、数次(マルチプル)ビザが100万VND程度という公式情報があります。過去の日本円での料金例では、1ヶ月/3ヶ月シングルが5,250円、1ヶ月/3ヶ月マルチプルが10,500円といった情報も見られます。有効期間が長くなるほど、またマルチプルエントリーになるほど費用は高額になります。
- ビザ申請代行業者利用の場合: 業者は大使館実費に加え、代行手数料を請求します。例えば、1ヶ月シングル観光ビザの代理申請で、通常処理なら9,000円程度、特急処理なら13,500円程度といった料金例があります。業者によっては一律のサポート料金(例:27,500円+実費)を設定している場合もあります。
- 一時在留許可証(TRC): ベトナム国内での申請費用として、$145 USDという情報があります。
表3:ビザ申請費用と所要期間の目安
申請方法/ビザ種別例 | 申請料目安(公式/直接) | 申請料目安(代理店利用・通常) | 処理期間目安(通常) |
---|---|---|---|
電子ビザ(EV) (90日 S/M) | $25 / $50 USD | 適用外(直接申請) | 3営業日以上 |
大使館 観光 (例:1-3ヶ月 S/M) | 約50万-100万VND / 約5千-1万円 | 約9千円-2万円 | 6営業日以上 |
大使館 商用 (例:3-6ヶ月 M) | 約100万-200万VND / 約1万-2万円 | 約2万3千円-3万5千円 | 6営業日以上 |
大使館 就労/家族等 | 期間・種別により大きく変動 | 期間・種別により大きく変動 | 6営業日以上 |
TRC申請(ベトナム国内) | 約$145 USD | 代理店手数料が加算 | 5-7営業日 |
注: 上記はあくまで目安であり、為替レート、公館、代行業者によって費用は変動します。最新の正確な料金は必ず申請先にご確認ください。代理店利用や緊急・特急処理には追加料金が発生します。
この表は、主要な申請方法における費用感と所要時間の比較に役立ちます。
ベトナム主要国際空港での入国手続き(ハノイ/HAN、ホーチミン/SGN、ダナン/DAD等)

到着時の流れ
- 降機と入国審査場への移動: 飛行機を降りたら、「Immigration(入国審査 / 出入国審査)」の案内に従い、入国審査カウンターへ向かいます。通常、国際線は専用ターミナル(例:ハノイ・ノイバイ空港は第2ターミナル、ホーチミン・タンソンニャット空港も国際線ターミナル)に到着します。
- 入国審査:
- 適切なレーン(通常「All Passports」または「Foreigner」と表示)に並びます。
- 順番が来たら、入国審査官にパスポートを提示します。
- ビザ(事前に取得したビザシール、または印刷したE-visa)で入国する場合は、パスポートと一緒に提示します。提示しない場合、意図せずビザ免除(45日間)で入国処理されてしまう可能性があり、長期滞在予定の場合に重大な問題を引き起こす可能性があるため、必ず提示してください。
- 搭乗してきた便の航空券(搭乗券)の提示も求められることがあります。
- 特にビザ免除や観光ビザでの入国の場合、帰国便または第三国行きの航空券の提示を求められることがあります。
- 審査官から滞在目的、期間、滞在先住所などについて質問されることもありますが、日本人旅行者に対しては通常、簡単な確認程度で終わることが多いようです。指紋認証は通常行われません。
- 重要:入国スタンプの確認: 審査後、パスポートに入国スタンプが押されます。その場で必ず、スタンプに記載された入国日と滞在許可期限日(通常、スタンプの下部や横に手書きまたは印字される日付 日/月/年)が正しいかを確認してください。特にビザで入国した場合、許可された滞在期間が正しく反映されているか、ビザ免除の場合は45日後の日付になっているかを確認することが極めて重要です。誤りがあった場合は、その場で審査官に申し出て訂正を求める必要があります。
- 手荷物受取: 入国審査を通過したら、手荷物受取所(Baggage Claim)へ進みます(例:ノイバイ空港T2では1階)。電光掲示板で利用便のターンテーブル番号を確認し、預けた荷物を受け取ります。荷物が出てこない、または破損している場合は、航空会社のクレームタグを持って空港職員に申し出てください。
- 税関検査:
- 荷物を受け取ったら税関検査へ進みます。原則として、機内持ち込み手荷物を含むすべての荷物がX線検査の対象となりますが、実際には検査なしで通過できる場合もあります。
- 申告が必要な場合:
- 現金: $5,000 USD相当額を超える外貨、または1,500万VNDを超えるベトナムドンを持ち込む場合は、税関申告が必要です。申告用紙は税関係官に請求します。申告せずに規定額以上の現金を持ち込み、出国時に持ち出そうとすると没収等の対象となる可能性があります。
- 免税範囲を超える物品: 個人的使用の範囲を超える物品や、規定の免税範囲を超える物品を持ち込む場合。
- 規制・禁止品: 武器、爆発物、麻薬、反体制的な内容や風俗を乱す可能性のある出版物・映像メディア等。特に、空港で購入した週刊誌等の内容にも注意が必要とされています。また、2025年1月1日から電子タバコ・加熱式タバコの使用が罰金の対象となる可能性があるとの情報もあります。
- 申告するものがない場合は緑色のレーン(Nothing to Declare)へ、申告するものがある場合は赤色のレーン(Goods to Declare)へ進み、必要に応じて税関申告書を提出します。
- 到着ロビー: 税関検査を終えると、到着ロビーに出ます。ここで両替、SIMカードの購入、交通手段(タクシー、配車アプリ、バス等)の手配などが可能です。
出国時の流れ(概要)
出発時は、概ね以下の順序で手続きが進みます。
- チェックイン: 利用航空会社のカウンターでパスポート、航空券(Eチケット控え等)を提示し、搭乗券を受け取り、荷物を預けます。
- 保安検査・税関検査: 空港によって順序は異なりますが、出国審査の前または後に、手荷物と身体の保安検査(X線検査、ボディチェック)があります。持ち出し禁止品(骨董品等)や制限品に注意が必要です。
- 出国審査: 出国審査カウンターでパスポートと搭乗券を提示し、出国スタンプを受けます。居住者(TRC保持者等)は、登録すれば電子出国ゲートを利用できる場合があります。
- 搭乗ゲートへ: 出国審査後は、搭乗券に記載されたゲートへ向かいます。
入国審査の優先アクセスについて
ベトナムの主要国際空港では、通常の入国審査レーンに加えて、特定の資格を持つ旅客が利用できる優先的な手続きが存在します。
8.1 APECビジネストラベルカード(ABTC)
- 概要: ABTCは、APEC加盟国・地域(日本、ベトナムを含む19の完全参加エコノミー)間を頻繁に移動するビジネス関係者のための特別なカードです。
- ベトナムでのメリット:
- ビザ免除での長期滞在: 事前にベトナム当局の承認を得たABTC保持者は、商用目的で最大90日間のビザなし滞在が許可されます。これは通常の45日間免除より長く、ビザ免除での再入国に関する30日間の待機期間も適用されません。
- 優先レーン: ハノイ、ホーチミン、ダナンなどの主要国際空港の入国審査場に設置されたABTC専用レーン(または優先レーン)を利用でき、手続き時間を大幅に短縮できます。
- 利用方法: 入国審査時に、パスポートと共にABTC(物理カードまたはスマートフォンアプリ上のバーチャルABTC)を指定のレーンで提示します。専用レーンの表示がない場合や、航空機乗務員・外交官レーンと共用になっている場合もあるため、不明な場合は係員に確認してください。
- 取得: 日本の外務省に申請します。貿易・投資実績のある企業の真正なビジネス関係者であることなど、一定の要件を満たす必要があります。審査・承認には時間がかかり、9ヶ月以上を要する場合もあるとされています。現在はバーチャルABTCが標準となっています。
- 信頼性: ABTCは、ベトナムを含むAPEC参加エコノミー間で公式に認められた制度であり、対象となるビジネス関係者にとっては、入国審査の迅速化とビザ手続きの簡略化を実現する最も確実で信頼性の高い手段です。
8.2 航空券のクラス(ビジネスクラス・ファーストクラス)
- 入国審査(到着時)の優先: 航空券のクラスのみに基づいて、入国審査で優先レーンを利用できるかについては、情報が錯綜しており、公式な保証はないと考えられます。多くの経験談やQ&Aサイトでは、タイなど一部の国とは異なり、ベトナムの空港には一般的なビジネスクラス・ファーストクラス旅客向けの専用入国審査レーンは設けられていないと報告されています。
- 一方で、特にベトナム航空(Vietnam Airlines)のビジネスクラス(Sky Priority)利用者向けには、乗務員レーン等の近くに優先レーンが存在する可能性があるものの、表示が分かりにくかったり、運用が一貫していなかったりするとの指摘もあります。ベトナム航空ビジネスクラスなら利用できると断言する声もあります。
- 有料ファストトラックサービスの利用者が、ビジネスクラスや外交官が使うレーンに案内されることがあるという報告も、そのようなレーン自体の存在を示唆しますが、自動的に全てのプレミアムクラス旅客が利用できるわけではないことを裏付けています。
- 保安検査(出発時)の優先: 到着時の入国審査とは対照的に、出発時の保安検査においては、ビジネスクラス旅客向けの優先レーンがハノイ・ノイバイ空港やホーチミン・タンソンニャット空港に設けられていることが、航空会社の情報などから確認できます。
- 結論: ベトナム到着時の入国審査を迅速化する目的で、ビジネスクラスやファーストクラスの航空券にのみ期待するのは不確実です。ベトナム航空利用者には機会があるかもしれませんが、全航空会社共通の保証されたサービスではありません。確実な優先入国を望む場合は、ABTCまたは有料ファストトラックサービスを検討すべきです。一方、出発時の保安検査では、優先レーンを利用できる可能性が高いです。
8.3 有料ファストトラックサービス
- 概要: 空港での入国・出国手続きを迅速化するための有料サービスで、第三者のサービス提供会社によって広く提供されています。ハノイ、ホーチミン、ダナンなど主要国際空港で利用可能です。
- サービス内容: 事前にオンライン等で予約し、到着時に入国審査場の手前で名前のボードを持ったスタッフと合流します。スタッフが優先レーン(外交官、乗務員、特別支援用レーンなどを利用することが多い)へ案内し、入国審査手続きをサポートします。サービスによっては、手荷物受取のサポートや到着ロビーまでの案内が含まれることもあります。出国時のサービスも提供されています。
- 費用: 1人あたり680,000 VND(約30~40米ドル、または約3,800~4,200円)程度が一般的な価格帯のようです。提供会社やサービス内容によって多少変動します。
- 有効性: 利用者の体験談などからは、入国審査の待ち時間を大幅に短縮できる効果的なサービスであることがうかがえます。これは、通常の入国審査レーンが混雑しがちであること、そして航空券クラス等による公式な優先アクセスが限定的または不確実であることの裏返しとも言えます。ABTCを所持していない旅行者が確実に入国審査を迅速化したい場合の有効な選択肢となります。
表4:入国審査優先アクセス方法の比較
アクセス方法 | 入国審査(到着時)優先 | 保安検査(出発時)優先 | 主な考慮事項 / 関連情報源 |
---|---|---|---|
APECビジネストラベルカード(ABTC) | ◎ 可能(専用レーン) | ○ 可能(全体プロセス迅速化) | 要申請資格・手続き、商用目的、90日滞在可、信頼性高い |
ビジネス/ファーストクラス航空券 | △ 不確実/保証なし(ベトナム航空のみ可能性あり、一貫性不明) | ◎ 可能(専用レーン利用可の場合が多い) | 入国審査には期待薄、出発保安検査には有効な可能性。航空会社確認要 |
有料ファストトラックサービス | ◎ 可能(スタッフが優先レーンへ案内) | ◎ 可能(出国サービスとして提供あり) | 事前予約・有料(約$30-50 USD)、ABTC非保持者でも利用可、確実性高い |
評価: ◎=確実/保証あり、 ○=可能性あり/一般的、 △=不確実/限定的
この表は、利用可能な優先アクセス手段を比較検討する上で有用です。
重要事項と推奨事項
ベトナムへの渡航を計画・実行するにあたり、以下の点に留意することが重要です。
- 情報の確認: 本稿は提供された情報に基づくものですが、ビザ制度や出入国管理規則は予告なく変更されることがあります。渡航前には、必ず在日ベトナム大使館・総領事館、ベトナム出入国管理局の公式ウェブサイト(電子ビザポータルを含む)、利用する航空会社などの一次情報源で、最新の要件、手続き、料金を確認してください。
- 申請タイミング: ビザ申請には相応の時間がかかります。電子ビザは通常3営業日以上、大使館での標準的な申請は6営業日以上を見込む必要があります。特に労働許可書(WP)が関わる就労ビザ関連の手続きは、書類準備(特にリーガライズ)を含め数ヶ月単位の期間を要するため、極めて早期からの計画と準備が不可欠です。
- 書類準備(特にリーガライズ): 就労ビザ(LD)、一時在留許可証(TRC)、家族帯同ビザ(TT)、投資家ビザ(DT)など、長期滞在に関連するビザ申請では、学歴証明書、職務経歴証明書、戸籍謄本、無犯罪証明書などの公文書について、日本の公証役場、法務局、外務省、在日ベトナム大使館・総領事館を経由するリーガライズ(合法化)手続きが必要となる場合が多くあります。この手続きは非常に煩雑で時間を要するため、対象書類と手続きを早期に特定し、準備を開始してください。また、無犯罪証明書や健康診断書には有効期間があるため、申請タイミングに合わせて取得する必要があります。
- 招聘元(スポンサー)との連携: 商用(DN)、就労(LD)、留学(DH)、家族帯同(TT)、投資(DT)など多くのビザ種別では、ベトナム国内の受入企業、学校、家族、ビジネスパートナー等が招聘元(スポンサー)となり、ビザ発給許可通知書(招聘状)の取得や申請書類の準備に関与する必要があります。申請プロセスを円滑に進めるためには、招聘元との緊密な連絡と協力が不可欠です。
- 入国スタンプの確認: 入国審査後、パスポートに押されたスタンプの日付(入国日、滞在許可期限日)が正しいかをその場で確認する習慣をつけてください。誤りがあると、後の滞在や出国時に問題が生じる可能性があります。
- 現金の持ち込み・持ち出し: $5,000 USD相当額を超える外貨、または1,500万VNDを超えるベトナムドンを持ち込む(または持ち出す)場合は、税関での申告が義務付けられています。規定を遵守してください。
- ビザと活動目的の一致: 滞在目的に合致したビザを取得・利用してください。例えば、観光ビザやビザ免除で就労活動を行うことは違法です。また、ビザを取得して入国する場合は、入国審査時にそのビザを提示することが重要です。原則として、ベトナム入国後に滞在資格を変更することは困難なため(一部例外を除く)、最初から目的に合ったビザを取得することが肝要です。
本稿が、日本国籍者の皆様のベトナムへの円滑な渡航と滞在の一助となれば幸いです。