ハノイの隠れた人気グルメ?トレインストリート近くのエビチャーハン体験記

ハノイにおけるエビチャーハンの評判:ローカルの認識と実態

ベトナムの首都ハノイには数多くの美味しい料理が存在し、その多様性は訪れる人々を魅了してやみません。フォーやブンチャー、バインミーといった定番料理は広く知られていますが、近年、特定の層の間で「名物」として話題に上るのが、あるエビチャーハンです。しかし、このエビチャーハンがハノイ全体で広く認知されている「名物」かというと、少し事情が異なるようです。実際にハノイに長く住むベトナム人の友人や知人何人かに尋ねてみたところ、残念ながら誰もその存在を知りませんでした。彼らにとって、特定の店のチャーハンが街を代表する「名物」として認識されているわけではないようでした。この事実は、このエビチャーハンが、いわゆる地元民なら誰もが知る伝統的なローカルフードというよりは、特定のコミュニティ、特に外国人観光客や情報に敏感な人々の間で人気を集めている可能性を示唆しています。ハノイの食文化は非常に豊かで、地域ごと、あるいは家族ごとに得意な料理や味付けがあり、「名物」とされる料理も多岐にわたります。そのため、一つのチャーハンが都市全体の「名物」として定着するには、相当な知名度と歴史が必要なのかもしれません。このエビチャーハンは、もしかするとインターネットやSNSを通じて情報が拡散され、特定の層にピンポイントで響いた、新しいタイプの人気グルメなのかもしれません。

ハノイには無数の飲食店があり、日々新しい店がオープンし、また消えていきます。その中で「名物」と呼ばれるには、味はもちろんのこと、歴史や文化的な背景、そして何よりも地元の人々からの継続的な支持が不可欠です。今回話題にしているエビチャーハンは、味の評価が高い一方で、ローカルコミュニティへの浸透度という点では、まだ発展途上にあると言えるでしょう。しかし、これは決してその価値を貶めるものではありません。むしろ、観光客によって見出され、新たなハノイの魅力として発信されている、現代的な現象と捉えることもできます。伝統的な名物とは異なる形で、ハノイの食シーンに新たな彩りを加えている存在なのかもしれません。

トレインストリート脇の隠れ家:店舗へのアクセスと周辺環境

その話題のエビチャーハンを提供する店は、ハノイの観光スポットとしても有名なトレインストリートのすぐ近くに位置しています。しかし、大通りに面しているわけではなく、車が進入できないような細い路地にひっそりと佇んでいます。この立地が、ある種の「隠れ家」的な雰囲気を醸し出しており、発見する喜びも味わえるかもしれません。アクセスするには、まずトレインストリート周辺を目指します。線路沿いの道を進み、特定の踏切を越えたあたりが目印となります。タクシーや配車アプリを利用する場合でも、店の前まで直接乗り入れることは困難なため、近くの広い通りで降車し、そこから数分歩く必要があります。具体的には、線路が見える場所まで来たら、線路を渡る小さな踏切を探します。その踏切を渡ってすぐの細い道に入ると、間もなく目的の店が見えてくるはずです。周囲は住宅や小さな商店が混在する、ハノイの日常が垣間見えるエリアです。観光地化されたエリアとは異なり、よりローカルな空気感に触れることができるでしょう。

このアクセス方法は、初めて訪れる人にとっては少し分かりにくいかもしれません。スマートフォンの地図アプリなどを活用するのが賢明ですが、最終的には周囲の人に尋ねるのが確実かもしれません。ただし、前述の通り、地元の人々が必ずしもこの店を知っているわけではないため、店名ではなく「美味しいエビチャーハンのお店はどこか」といった尋ね方の方が有効な場合もあります。店の周辺は、生活道路としてバイクや自転車、歩行者が行き交います。特に線路周辺では、列車の通過時間に注意が必要です。トレインストリート自体が観光名所であるため、時間帯によっては多くの観光客で賑わっていますが、一本路地に入ると、比較的静かな雰囲気に変わります。このコントラストも、ハノイ散策の面白さの一つと言えるでしょう。店にたどり着くまでの短い道のりも、ハノイの日常風景を発見する小さな冒険となるはずです。

絶賛される味の秘密:熱々スープと具材、そして食べ方の特徴

多くの訪問者がこのエビチャーハンを高く評価する最大の理由は、その独特の味わいと食べ方にあります。提供されるのは、色鮮やかに炒められたチャーハンと、別添えの熱々のスープです。写真で見ると、チャーハンの量に対してスープが少なく見えるかもしれませんが、実際にはチャーハン自体のボリュームがかなりのものです。そして、この店の最大の特徴は、チャーハンにスープをかけて、または絡めながら食べることです。このスタイルは、ベトナムの他の地域や一般的なチャーハンとは一線を画すものであり、この店ならではの体験と言えるでしょう。通常屋台のコムガー等と比べるとかなり高めの値段設定の140000VND(現在のレート 780円)。量が多いのとエビもたくさん入っているので、この価格も納得できます。

チャーハン自体は、パラパラ系というよりは、少ししっとりとした仕上がりです。おそらく、スープと絡めることを前提としているためでしょう。ほんのりと色がついており、見た目にも食欲をそそります。使われている調味料や具体的なレシピは不明ですが、魚醤(ヌクマム)や香味野菜などが使われている可能性があり、深みのある味わいを感じさせます。そして、主役であるエビは、期待を裏切らない量がたっぷりと入っています。プリプリとした食感のエビは、チャーハンの風味と絶妙にマッチし、満足感を高めてくれます。エビの質も良好で、臭みなどは感じられません。

熱々のスープは、コクのある味わいです。このスープをチャーハンにかけると、ご飯がスープを吸い込み、また違った食感と風味に変化します。チャーハンはスープと合わせることで、複雑で一体感のある味わいが生まれます。この「スープかけチャーハン」とも言えるスタイルが、多くのリピーターを生んでいる理由の一つでしょう。さらに、セットで提供される漬物(甘酢漬けのようなもの)も、箸休めとして非常に良い役割を果たします。さっぱりとした酸味と甘みが、チャーハンの油分を和らげ、口の中をリフレッシュさせてくれます。この漬物は、日本人にとっても馴染みやすく、口に合う味付けだと感じる人が多いようです。全体として、ボリューム、味、そして独特の食べ方という三拍子が揃っており、一度試してみる価値は十分にあると言えます。

屋台ならではの雰囲気と衛生面に関する注意点

このエビチャーハン店は、洗練されたレストランではなく、いわゆる「屋台」またはそれに近い形態で営業しています。そのため、食事をする環境は、ローカルな雰囲気に満ちています。店の前や路地に小さなプラスチック製のテーブルと椅子が並べられ、そこで食事をとるスタイルが一般的です。ハノイの多くのローカル食堂と同様に、開放的な空間であり、道行く人々やバイクの音、近隣の生活音などが常に聞こえてきます。この活気ある、少し雑然とした雰囲気こそが、東南アジアの屋台文化の醍醐味であり、それを楽しみたい人にとっては魅力的に映るでしょう。壁にはメニューや写真が貼られ、調理場の様子も垣間見ることができます。

一方で、こうした屋台環境に慣れていない人にとっては、注意が必要な側面もあります。特に、騒音と衛生面は気になるポイントかもしれません。店の前の通りはバイクの往来があり、時間帯によっては騒がしいことがあります。また、地面に関しては、正直なところ、あまり綺麗とは言えません。食べこぼしやゴミが落ちていることもあり、潔癖な方や衛生面を非常に気にする方には、少し抵抗があるかもしれません。ただし、重要な点として、食事をするテーブルや椅子、食器類に関しては、比較的清潔に保たれているという印象です。店員さんもこまめにテーブルを拭いており、衛生に対する配慮は感じられます。それでも、日本の飲食店のようなレベルを期待するのは難しいでしょう。ウェットティッシュを持参するなど、個人でできる対策をしておくと安心です。この独特の雰囲気と、ある程度の衛生面の妥協を受け入れられるかどうかが、この店を楽しめるかどうかの分かれ道になるかもしれません。

客層から見えるお店の立ち位置:観光客に人気の理由

このエビチャーハン店を訪れて興味深いのは、その客層です。前述の通り、ハノイ在住のベトナム人の間での知名度はそれほど高くない一方で、店内や店先は多くの客で賑わっています。そして、その多くが外国人観光客であるという点が特徴的です。観察していると、欧米系の観光客が半数近くを占め、残りは韓国、台湾、中国、そして日本など、アジアからの観光客が多いように見受けられます。ハノイに駐在しているような外国人や、地元のベトナム人の姿は比較的少ない印象です。この客層の構成は、この店が「ローカルに深く根付いた名店」というよりも、「外国人観光客の間で口コミやSNSを通じて人気が出た店」であることを強く示唆しています。

ベトナムのエビチャーハン(コムザンハイサン)について

今回取り上げた店のチャーハンは独特ですが、ベトナム料理全体において、チャーハン(Cơm rang/コムザン)は一般的な料理の一つです。特に、海産物を使ったチャーハンは「Cơm rang hải sản(コムザンハイサン)」と呼ばれ、多くのレストランや食堂で提供されています。ベトナムのチャーハンは、日本のものとは少し異なり、インディカ米(長粒種)を使用することが多いため、パラパラとした軽い食感に仕上がることが多いのが特徴です。味付けには、ヌクマム(魚醤)が使われることが多く、これがベトナム料理らしい独特の風味を生み出します。ニンニクやエシャロットなどの香味野菜もたっぷりと使われ、食欲をそそる香りがします。

おすすめの時間帯としては、昼食時や夕食時が一般的ですが、これらの時間帯は混雑することが予想されます。特に観光シーズンや週末は、席を見つけるのが難しい場合もあるかもしれません。少し時間をずらして訪れると、比較的ゆっくりと食事を楽しめる可能性があります。ただし、営業時間は事前に確認しておくことをお勧めします。屋台は予告なく休業したり、営業時間が変更されたりすることもあります。服装については、特に気にする必要はありませんが、歩きやすい靴を選ぶのが良いでしょう。また、支払い方法は現金のみの可能性が高いので、少額のベトナムドンを用意しておきましょう。最後に、味覚は人それぞれです。多くの人が美味しいと評価していますが、必ずしも自分の口に合うとは限りません。過度な期待はせず、ハノイの多様な食体験の一つとして、オープンな気持ちで試してみるのが一番です。このエビチャーハンが、あなたのハノイ旅行の思い出に残る一皿となることを願っています。

店舗情報

場所の名前
Loan Mai
電話番号
+842437171555
住所
2a P. Tống Duy Tân, Hàng Bông, Hoàn Kiếm, Hà Nội
価格帯
エビチャーハン 140000VND
日本語電話対応
なし